多くの数値予報モデルや気候モデルには,時間刻み幅を大きくし,移流を正確に計算するために,セミ・ラグランジュ法が用いられています.オイラー移流と比較して,分散性が少ないが消散があります.空間スケールの小さな構造が減衰して,大気の観測されるスペクトルの表現が困難です.
スペクトルモデルでは,微分が正確に計算できます.このようにして求めた微分係数を双3次内挿法に適用したところ,従来のモデルで用いられてきた双3次ラグランジュ内挿法よりも消散を小さくすることができました.
図は,ガウス型の山を赤道から北極を通りまた赤道に戻るように剛体回転流で20日間で1周させた結果です.黒は初期値, 青はオイラー移流, 赤は双3次ラグランジュ内挿法を用いたセミ・ラグランジュ移流,紫は今回考案した方法です.
この研究について,2008年5月19日 (月),日本気象学会春季大会でポスター発表 (P225) [PDF]しました.
1 件のコメント:
オイラー法でなぜ分散が起きるのか,進行方向の前面に現れるのはなぜかという質問を頂きましたが,正しくお答えすることができませんでした.Ritchie (1987)にはきちんと説明されています.読んだときに納得して忘れてしまったようです.問題は,leap frog(時間方向の中央差分)で離散化された時間微分の項からsin(mγΔt)が現れることにあります.ここでγは数値的な位相速度これをTaylor展開すると(m&omegaΔt)²に比例した項があることが分かります.つまり短い波は剛体回転よりも速く移動します.ついでに,代表的な波長2500kmの山を流す実験では,Legendre変換が不要な内挿法で,Legendre変換をしてもしなくても20日目の差はほとんどありませんでした.Legendre変換をした方が極でのノイズが出ないので,自然なフィルタとしてLegendre変換を毎回かけました.
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